料理とワインのマリアージュ
料理とワインのマリアージュ。
フランスでは料理と食事の相性をこのように表現します。
元々フランスなどでは水が非常に貴重な物でしたから子供の頃からワインに慣れることで水代わりにワインを飲んできた歴史があります。
ですから食事の時でもワインと一緒に楽しむためにワインと食事の相性が必然的に必要とされてきたのです。現在では当たり前のように水がペットボトルで販売されていますので昔とは全く違う状況になっています。
さてマリージュの世界は難しい、プロに任せてと思っている方が多いのではないでしょうか。何故そこまで難しいのか、その理由を追及してみましょう。
20〜30年前までは現在流通しているワインとは作りも味わいも大きく違っていました。現在のようなSNSのような交流手段もなく、各作り手はその家に伝わる伝統的な作り方でワインを作っていました。地域の組合によってこの地域のワインはこのような特徴があると言うことが守られており、地域作り手によって明確な違いがありました。ですからその地域のワインにはごく自然にその地域の食事が合ったわけです。流通手段も現在のように発展していなかったので食材も限られており、伝統的なスタイルがそのまま地域性としてその土地の料理とワインを形作っていたのです。
現在はSNSによる生産者同士の交流が盛んになり、技術的にも革新的な革命が起こり、同時に農薬や化学肥料からの脱却によってより自然指向のワインができはじめ、料理も健康志向の影響で大きく変わってきています。料理の変化もまたワインの変化に大きな影響を与えているのです。
こういった時代に変化によって現代ではある意味地域性の希薄化が起こっています。ワインによってはどこの国でどこの地域で作られたのか分からないようなワインもあるほどです。
さて料理のマリアージュにとって何が一番大事なのでしょうか。
今まではソムリエなどによって中華のスープと熟成したボルドーの赤との相性が良いとか、経験と想像力だけによってその相性が追求されてきました。昔のブルゴーニュのピノとエポワースの相性が素晴らしいとかそういったフランスならではの伝統的な組み合わせもありますが、あまり本質的な議論がされているとは思えませんでした。
それには今まで触れられなかったなかった大きな要素が関係しています。今最も世界中で重視されていないワインの管理に関わること。残念ながらこのことはワイン生産国現地でも同じです。
フランスのシャンパーニュなどに行って樽からシャンパンを飲むと胃がやられてしまうほどの酸があります。ところが出来上がったシャンパンを市場で飲むとその酸ははどこに行ってしまったかのかと思うほど感じることができません。物によっては酸どころか口に残るようなべったりとした甘さが残ることさえあります。
どうしてこのようなことが起こるのか、それはワイン管理の問題で酸が失われてしまっているからなのです。
前回のNHKの朝ドラで発泡スチロールの容器から臭いが取れるのはアメリカからの輸送で熱に当たる期間がある程度あるために独特の異臭がとれると言う場面がありました。つまりコンテナでアメリカから日本に容器が運ばれる過程で高温にさらされて香りがとれる。
元々ワインでもコンテナはコンテナ船の船上に積まれ日をサンサンと浴びながら日本に到着します。熱くなるのは当たり前。ところが現在アメリカから運ばれるワインの多くは定温管理もされずに輸送されているのです。その理由は?赤道を通らないから、、。
なんと言うことでしょう。赤道は確かに熱すぎますが、アメリカからでも船上で数週間乗せられて来るわけですから熱くならないわけがありません。アメリカワインは濃いから大丈夫という方もいそうですが、ラシーヌの輸入したワインと他のワインを比べてみてください。吃驚するほど違うのです。
さてではどこが違うのでしょうか。それはフレッシュで純粋な味わいがすることなのです。
まず第一にワインは輸送中にフレッシュ感を失い酸がやられてしまっていることが非常に多いのです。
ラシーヌのワインでもおかしいと思うことがあります。ラシーヌからワインショップに届きそれを個人客が買い求めます。ラシーヌのワインがおかしい理由はワインショップ、もしくは飲食店に原因がありそうです。
ワインは一日2度以上の温度差にさらされるとどんどん劣化してきます。年間における温度差にはそれほど影響を受けませんが激しい温度差には非常に敏感なのです。
もともと生産者の蔵は人の出入りも少なく温度変化がほとんどないためにワインがそのまま置かれています。年間の温度差はセラーにも大きく影響しますが、それはその作り手のワインが育った環境であり、その地域に住む人間と同じと考えて良いでしょう。ところが蔵から出てしまうとすっかり環境が変わってしまうのです。
ワインショップなでの店内にそのまま並べられているワインは急激に劣化します。ある程度冷やされてれば大丈夫だろうという安易な考え方がワインを駄目にしてしまいます。ただでさえエアンは温度差を発生させる構造ですし、人の出入りによって店内の温度は大きく変わります。大きな部屋のようなセラーも実はそれほど大差ない問題があるのです。
輸送の次はワインショップでの問題もあるのです。さてこの両方とも問題がない場合でもここで配送を常温にしてしまったら今までの苦労が水の泡です。
冬だから大丈夫だろうとクール代金をけちってしまっては駄目なのです。
確かに配送業者に対する不信感もあるでしょう。一部の配送はチルドですし、ある業者は下請けが多くどのように扱われているかも分かりません。正直私たちが使っているヤマトでさえも完全には信じられません。この部分に関しては今後の改善を望むしかありませんが、高温にさらされるよりも、ある程度温度が低い方が問題を起こしにくいことだけは確かです。
さて長々と本題とは関係のなさそうなことを書きましたが、実はここで問題にしている酸がマリアージュと大きな関わりがあるのです。
私は最近はあえてマリアージュのことなど考えずに飲みたいワインを飲んでいます。白赤泡など全く気にしません。絶妙な相性に驚くことありますし、意外な相性に驚いたり、合わないと思っていた組み合わせが全く気にならないこともあります。正直結婚と同じで絶妙な相性など希だと思って良いわけで、それよりも相性が悪い方が問題なのです。
こうやって飲んでると合わない相性はほとんどありません。何故なのでしょうか。
それはワインの状態が良いワインしか飲んでいないからです。酸が健全でフレッシュ感がある。そのことによって料理との相性は驚くほど良くなるのです。極めようと思えばいくらでも極められるでしょうが、そんなマニアックになってもワインは美味しく楽しめません。何も気にしなくてもいい状態が一番食事もワインも楽しめるのではないでしょうか。たまにはずれたら あ!やられた と笑って済ませればいいのです。勉強させていただきました、っと。合わない方が少ないのですからこれが印象的な学習になります。人間失敗したくないと神経質になっているほどに失敗する物です。
魚介系には白や泡、肉には赤というのもある意味間違いです。
状態の良いワインは今まで学んできたことを無駄にしてしまうかも。
科学の世界でもそうですが、常に革新的な解明が進み今まで学んできたことが無駄になってしまうことも多い。
ワインの世界も全く同じなのです。多くの失敗をして多くの経験をして学ぶことが必要とされているのです。
ワインの世界でもあまり人の言うことを信用しないことです。自分の感性だけを信じる。それが味わいと言うことなのです。
だから私が書いたことも信用してはいけません。一つの意見として理解してください。
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